クールな国王陛下は若奥様にご執心
「これでよろしいでしょうか?」
 随分軽くなった頭を振ってそう言うと、リーレはナイフを彼に差し出す。
 その行動はレイドロスにとってよほど予想外だったらしく、すぐに言葉が出ない様子だった。差し出されたナイフを受け取ると、床に広がる金の髪を見つめ、そして笑い出す。
 先ほどまでのような冷たさを感じさせるものではなく、今までの彼からは想像できないような、明るいものだった。こうして見ると、彼は思っていたよりも若いのかもしれない。
(お姉さまと同じくらいかしら?)
 そうだとしたら、随分早く王位を継いだものだ。
 そんなことを考えていたリーレに、レイドロスは向き直る。
「本当に、面白い女だ。まさか、こんなことをするとは思わなかった。……気に入った」
 そう言うと、彼はもう一度、リーレの髪に手を伸ばした。
(あ……)
 短くなった髪に触れる指は、先ほどとは比べものにならないくらい、優しく感じた。
「手柄のあった者に報酬としてくれてやろうと思っていたが、気が変わった。お前は俺のものだ。このカリレア王国の王妃となれ」
「えっ……」
 想像もしていなかった言葉に、今度はリーレが驚く番だった。驚愕に目を見開くリーレの言葉を待つことなく、レイドロスは背を向ける。
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