クールな国王陛下は若奥様にご執心
彼はおそらく、カリレア王国の国王レイドロスだ。
金色の髪を目障りだと言われ、それを自らの手で切り落としたこと。そのせいで、自分の妃にすると言われたことまで、すべて隠さずに話をした。
「……レイドロス様が」
話を聞いた女騎士は、それだけ呟くと、口を閉ざした。
彼女の顔は苦痛に満ちていて、リーレに夜明け前に尋ねてきた姉の姿を思い出させる。この国にも何か、簡単には解決できないような深い事情があるのかもしれない。レイドロスが抱える闇も、それに関係しているのだろうか。
泣いてしまったことで、少しだけ心の余裕ができたリーレはそんなことを考えていた。
視線を落とし、唇を噛み締めながら何事か思案していた女騎士は、ようやく顔を上げるとリーレを見つめた。
その瞳にはリーレに対する同情、そして国王レイドロスの行動への困惑が見て取れる。やがて彼女は、リーレを祖国から連れ出したときとは比べものにならないくらい、穏やかな口調で語りかける。
「突然のことで、驚いたと思います。ですが、国王陛下が一度口にした言葉を撤回されることはないでしょう。必ずあなたを、このカリレア王国の正妃にすると思われます」
「正妃? 私など、人質のようなものなのに」
たしかに彼は妃にすると言っていた。だがリーレは、自分の立場を考えれば正妃ではなく愛妾のようなものだと思っていたのだ。
金色の髪を目障りだと言われ、それを自らの手で切り落としたこと。そのせいで、自分の妃にすると言われたことまで、すべて隠さずに話をした。
「……レイドロス様が」
話を聞いた女騎士は、それだけ呟くと、口を閉ざした。
彼女の顔は苦痛に満ちていて、リーレに夜明け前に尋ねてきた姉の姿を思い出させる。この国にも何か、簡単には解決できないような深い事情があるのかもしれない。レイドロスが抱える闇も、それに関係しているのだろうか。
泣いてしまったことで、少しだけ心の余裕ができたリーレはそんなことを考えていた。
視線を落とし、唇を噛み締めながら何事か思案していた女騎士は、ようやく顔を上げるとリーレを見つめた。
その瞳にはリーレに対する同情、そして国王レイドロスの行動への困惑が見て取れる。やがて彼女は、リーレを祖国から連れ出したときとは比べものにならないくらい、穏やかな口調で語りかける。
「突然のことで、驚いたと思います。ですが、国王陛下が一度口にした言葉を撤回されることはないでしょう。必ずあなたを、このカリレア王国の正妃にすると思われます」
「正妃? 私など、人質のようなものなのに」
たしかに彼は妃にすると言っていた。だがリーレは、自分の立場を考えれば正妃ではなく愛妾のようなものだと思っていたのだ。