クールな国王陛下は若奥様にご執心
「今までの御無礼をお詫びいたします。僭越ながら、私の主が正しい決断をすることができるお方でよかったと思います」
 彼女の中でリーレの存在は、任務によって運ぶべき戦利品から、己が仕える主へと変化を遂げたようだ。
 相手の立場によって、態度を変える。
 それは当然のことだし、それを責めるつもりはない。
 ただ、もし自分が彼女の期待に添えるような存在ではなかったら、キィナはこうして主と認めてくれることはなかっただろう。
 それだけはリーレにもわかった。
「ええ、私のほうこそよろしくね」
 だからそう答えて、リーレも微笑みを向ける。互いに認め合った今の彼女なら、きっと信頼することができるだろう。
 そして改めて侍女に支度を手伝って貰い、不揃いだった髪も綺麗に整えてもらった。
 この短くなった髪では結うことができず、髪飾りもつけられない。それでも侍女達が苦心してくれたお陰で、何とか見苦しくはなくなった。
 着せられたドレスは贅沢にレースを使った華やかなもので、カリレア王国の貴族の女性の間で流行しているデザインのものだと、侍女が教えてくれた。色は濃い緋色で、リーレの白い肌によく映える。

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