クールな国王陛下は若奥様にご執心
 それだけでも、この道を選んだ甲斐があるというものだ。
 もちろん彼は聞くと言っただけで、望みを叶えてくれるわけではないだろうが、ほんのわずかでも祖国を守るために役立つかもしれない。
「結婚式など、くだらぬ儀式は必要ない。ここで命じる。お前は今からこの国の正妃。俺の妻だ」
「……はい」
 俯き、少しだけ躊躇したあとに、リーレはそれを承諾する。
 今さら正妃となることを躊躇ったのではない。
 もし結婚式をするのならば、そこで父や姉に会えるかもしれないと期待してしまったのだ。王族の、しかも国王の結婚に儀式をしないとは考えられないことだが、彼はそういったことを嫌っているようだ。
「どうした? 思ったことを話せと言ったはずだ。お前は式を望んでいるのか?」
 躊躇ったリーレに不審を覚えたのか、レイドロスは問いただす。
 彼に伝えるほどのことではないと思ったが、何でも話せと言われたのだ。素直に、落胆の理由を告げる。
「いえ、ただ……。もし式をするのならば、父や姉に会えるかもしれないと思っただけです」
 祖国を離れるときに、もう会えないかもしれないと思った。そう覚悟も決めた。
 それでも会いたいという気持ちはまた、別のものだ。それが叶うのならばと願ってしまう気持ちを止めることはできない。
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