ツンの恩返しに、僕は108本のバラを贈るよ
「それに、アレだけで足りると思っているのか? 弁当はお前のだったんだろ? 量が少なすぎだ。明日はあの倍は作ってこい」

ん……? それってもしかしたら、明日も作ってこいと言っているのだろうか?

「まさかですが、また召し上がるんですか? 私の手作りのお弁当」
「当然だ。早く完治するように骨にいい物にしろ!」

骨にいい物ってどんな物? この歳になって宿題を出されるとは……。
だが、これも恩返しの一環なら仕方がない、頑張ろぉ!



敏活の料理は噂通り美味しかった。それに単純だが、箸を進めるたびに『活力注入!』みたな感じがした。

「お前、見かけの割りにはよく食べるな」

痩せの大食いとでも言いたいのだろうか? 当たっているだけに言い返せない。それに……思い出した。彼は私を受け止めて骨折したんだった。

「すみませんでした。私、重かったですよね?」

彼の足に視線を向ける。

「お前のどこが重いというんだ? これのことならお前の体重とは関係ない」

副社長の説明では、私を受け止めたまでは良かったのだが、生憎、階段を一段だけ上がっていたらしい。

「で、お前を抱いたまま足を踏み外した」

変な落ち方をしたと言う。

「あのままお前が下まで落ちていたら、これぐらいの怪我では済まなかっただろうな」
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