俺様外科医の極甘プロポーズ
「どうしてこうなっちゃったんだろ」
ひとりの家に帰りたくなくて、私は久しぶりに駅前の居酒屋に顔を出す。唐揚げと厚焼き玉子をオーダーするとそれをつまみにハイボールを飲み干す。五杯目くらいまでは覚えていた。それから何杯飲んだかはわからなかった。
「お姉さん、ひとり?」
顔を上げてみると、スーツ姿の男の人が私を見下ろしていた。
「そうですけど、なにか?」
ツーブロックのマッチョ。ピカピカの革靴にアタッシュケース。俺仕事できるんです感がビシビシ伝わってくる。
「お、奇遇! 俺もひとりなんだよね。じゃあ、一緒に飲んじゃう?」
見た目以上に言動が軽すぎる。私は毅然とした態度で断った。
「いやです」
「そんなこと言わずにさ。愚痴でもなんでもきいてあげるよ?」
嫌だと言ってるのに、その男は隣の椅子に腰を下ろす。そして聞いてもいない自慢話を延々と続けた。年収が何千万あろうと、私はあなたになんて興味はないのに。
そもそもあなた、私の愚痴を聞くといったのではなかったの?もちろん聞いてもらうつもりもなかったけれど。
「……もう帰ります」
「ええ、もう帰るの? まだ終電だいじょうぶでしょう」
そういう問題じゃない。
「すみせん! お会計お願いします」
テーブルでお会計を済ませて立ち上がり、どうにか店の外まではでてこれた。けれど、思ったように足が前に出ない。