俺様外科医の極甘プロポーズ
「髪、だいぶ伸びたね。伸ばすの?」

顎下のボブだった髪の毛も、どうにか結べる長さまでになった。たまには長く伸ばしてみようかなと思うけど、短い方が手入れは楽だ。

「悩み中です」 

「そっか。どっちも似合うと思うけどね。はい、完成!」

 乾いた私の髪をなでながら、先生は言った。

「ありがとうございました。これ、片づけてきますね」

 ドライヤーをもって立ち上がろうとすると、先生は私を背後から抱きしめる。

「先生?」

「俺は、りさのことが心配なんだ。職場で孤立しているだろ。俺のせいでしなくてもいい苦労をさせてしまって、本当に申し訳ないと思ってる」

 まるで泣いているような声だった。胸が押しつぶされるように痛い。振り返ることもできずに、私は首を小さく横に振った。

「自分を責めないでください。私なら大丈夫です」

 そういったのは、決して強がりなどではない。本心からだ。こうして心配してくれる人がいて、一日の終わりに癒されて、私は救われている。

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