俺様外科医の極甘プロポーズ

旅館のご飯はとてもおいしく、お酒も進んだ。先生も今夜は病院から呼ばれなくて済むようにしてきたからと、ビールや日本酒を思う存分堪能したようだった。

酔いが少し冷めたころ、私はお風呂に入ることにした。食事もおいしかったけれど、旅行のメインはやはり温泉だ。

寝室からつながっているお風呂は障子窓をすべて開けると露天風呂になるつくりのようだった。

外の空気はとても冷たかったけれど、せっかくの露天ぶろを楽しまない手はない。私はお湯につかりながら障子窓をゆっくりと開ける。ダークブルーの空には銀色の月が浮かんでいる。

「きれい」

 思わずそうつぶやくと、「そうだね」と先生の声がする。私は驚いて振り向いた。

「先生!」

「せっかくだから一緒に入ろうと思って。だめ?」

「だめじゃないですけど、恥ずかしい」

 私は胸の前で腕をクロスさせる。そんな私を見て先生は呆れたように言う。

「いまさらだろ」

「そうですけど……」

 先生の足がまだギプスで固定されていたころ、やむを得ず一緒にお風呂に入ったことがある。それは、服を着たまま先生の体を洗っている私が誤ってシャワーを頭から被ってしまったからで、濡れたままだと風邪をひくからと風呂場の電気を消して一緒にお風呂に入った。でも、後にも先にもそれっきりだ。

先生は体を洗うと湯船に浸かり、私の隣に並んだ。

それからしばらくは何も話さずに、ただ月を眺めていた。さらりとした温泉が体の芯まで温めてくれる。日頃の疲れも吹き飛ぶようなそんな感じがした。

「先生。連れてきてくれてありがとうございました」

「こちらこそ。いつもありがとう」

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