俺様外科医の極甘プロポーズ
 
 田口さんたちはお饅頭を食べ終えると、お弁当を広げながらテレビをつけた。午後の情報番組はクリスマスとボーナスの話題を取り上げている。

それにつられるように、田口さんたちは今年のボーナスがどのくらいかという議論をし始める。

柏瀬病院の賞与は一般企業に比べて驚くほど少ない。いい年で夏が0.5で冬が1.2という具合だ。大学病院の半分以下しかもらえない。そもそも赤字なのに賞与を出しているのは院長先生の恩情というほかなく、その辺を理解している

職員たちは不満を口にすることすらしなかったのだけれど……。

「今年は死神のせいで忙しくなったじゃない。それでもし、もらえる額が少なかったらどうする?」

 田口さんは言った。すると同僚は言う。

「辞めると思う。実はね、四月から働ける病院探してるんだ」

 彼女は転職支援サイトに登録してめぼしい病院を探しているのだそうだ。

「私も登録しようかな。なんていうサイト?」

 とりあえずボーナスはもらって、そこから退職に向けて動き出すという職員は毎年のようにいる。

目の前に二人もいるということは、今年度末にどれくらいの退職者を出すのか、考えるだけでも恐ろしい。

私はお弁当箱を片付けると、早々に休憩室を後にした。

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