そして、失恋をする
「でも、どうして謝ったの?」

「陸君の好きだった人と、私が似てるから」

「意味がわからないんだけど」

千夏が口にした言葉を聞いて、僕は困った顔をした。

「どうして僕の好きだった人と似てるだけで、謝るの?」

「もうすぐ、私が死ぬから」

僕に視線を向けて、千夏はさみしそうに言った。千夏の茶色瞳が、かすかに潤んでいた。

「私が死んだら悲しいって、言ったよね」

「うん、言ったよ」

それは、はっきりと言った覚えがあった。

「それってその好きだった彼女と、私が似てるからでしょ。そのせいで、陸君は好きだった人と私を重ねてるのでしょ。違う?」

「………」

千夏の質問に僕は〝そうだよ〟とは言わなかった。しかし、彼女の言ってることはまちがってなかった。

たしかに僕は好きだった千春と、千夏を重ねている。顔も似ているし、余命わずかなところも僕の好きだった千春にそっくりだからだ。千夏と一緒にいると、まるで千春がもう一度僕の前に生き返って現れてくれたような感じがする。
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