そして、失恋をする


「来てくれたんだ」

待ち合わせの場所に行くと、僕より先に彼女の姿がそこにあった。

彼女はうれしそうな表情で僕のことを見ており、夏の日差しが千夏の白い肌を照らしている。

「ごめん、待った?」

そう言いながら、僕は千夏に近づいた。

千夏と待ち合わせをしたデートの場所は、僕と彼女が一番最初に出会ったところだ。前には神社があり、そこの道路で千夏が飛び出して死にそうだったところを僕が助けた。

「うん、待ってたよ。一時間ぐらい」

「え、うそ!」

「うそ。ほんとうは、私もいま来たところ」

「そうなんだぁ。よかった」

千夏の冗談を聞いて、僕はほっとした。

「学校サボって、ほんとうに私との約束守ってくれたんだね」

「信じてなかったの?」

「信じてたよ」

「じゃあ、どうしてそんなこと聞いたの?」

「私も病院から抜け出してるから、二人とも悪いことしてるなぁと思って」

クスクスと笑いながら、千夏はそう言った。

ーーーーーーそう言うということは、千夏はほんとうに病院から抜け出したのだろう。
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