そして、失恋をする
「だいじょうぶだったの?」

「なにが?」

「病院から抜け出して?」

僕は、心配そうに千夏に訊いた。

「私は、だいじょうぶ。けれど、先生たちや看護師たちは今ごろ大騒ぎしてるだろうね」

クスッといじわるそうに笑いながらそう言う千夏は、僕にはなんだか悲しく見えた。

「ありがとう、学校よりも私との約束守ってくれて」

「そんなのいいって」

僕は胸の前で両手を振りながら、頬をかすかに赤くしながらそう言った。

「ねぇ、陸君」

待ち合わせの場所から少し離れた大通りを歩いていると、千夏が僕に声をかけてきた。

「なに?」

僕は、短くそう言った。

「陸君は、学校楽しい?」

「うーん、どうだろう?毎日が楽しいってわけじゃないけど、楽しいときもあるよ」

僕は、正直な想いを千夏に口にした。

勉強は辛いし、運動だって特別できるわけじゃない。毎日同じ日の繰り返しは正直つまらないけれど、友だちとなにげない会話ができるのは楽しいと思える。
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