そして、失恋をする
「今は仕事してないけど、陸君もいずれ働くんだよね?」

「まぁ、働くだろうね」

なにげなく千夏にそう答えた僕だが、まだ自分の進路ははっきりと決まってなかった。”働く〟ということは、きっと社会の流れでそうなるんだろうけど。

「じゃ、ジュースおごってよ」

「えっ」

千夏が僕から視線をはずして突然、町の中に設置されている、自動販売機に指をさして軽い口調でそう言った。

「ジュース‥‥‥」

不思議そうな顔をしたまま、僕は千夏が指さした方向に視線を向けた。数メール先に縦長の青を基調とした自動販売機が、僕の目に映った。

「いいでしょ」

「いいけど、べつに」

断る理由もなかったので、僕はさらりとそう返事した。

「ありがとう」

千夏は笑みを浮かべて、自動販売機に向かって歩いた。僕も、彼女に続いて歩く。
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