そして、失恋をする
「そっか」

僕は小さな声で、短くそう言った。

僕には外でジュースを飲むという行動は、とても日常的なもので、これからもあたりまえに続いていく。けれど、千夏にはこの行動は非日常的なもの。

彼女の長い病院生活が、少し想像できる。

「陸君は、飲まないの?」

千夏が僕に視線を向けて、細くて白い首をわずかに傾けた。

「僕は、いいよ」

僕は右手を軽く振って、えんりょした。

「そっか」

僕の言葉を聞いて、千夏はゴクリとジュースを一口飲んだ。千夏の喉が、軽く上下した。

「高校卒業したら、陸君は進路とかどうするの?」

千夏が、僕に視線を向けて静かな声でそう訊ねた。

千夏が右手で握っているペットボトルから、水滴がポタポタと落ちた。

「まだはっきりと決めてないけど、とりあえず、進学すると思う」

自分の少し先の未来を想像して、僕は千夏に答えた。

僕は、勉強が苦手だった。けれど、自分がすぐに社会人になることは想像できなかった。
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