そして、失恋をする
「自分の進路か‥‥」

僕の質問に悩んでいる様子を見せ、千夏はあごに人差し指を軽く当てた。

「うーん。できるのなら、進学したいかな?私も」

数秒間考えた後、千夏は僕に視線を向けてそう答えた。

「どうして?」

軽い口調で、僕は千夏に訊いた。

「進学するか就職するか、すごく迷ったんだけどね。でも、やっぱり毎日学校に行きたいんだよね」

静かな声でそう答えた千夏の口から、本音が聞こえた。

「学校に行って部活とか勉強とか、なにげない会話とかしたいんだよね。私の青春、ほとんどが病院生活だったからさぁ」

明るい口調で話す千夏だが、悲しそうに彼女の瞳がうるんでいた。

「それに、学校の制服も着たいんだよね。なにげに当たり前にある、あたりまえの青春っていうのかな‥‥?私、経験したことないんだよね」

すらすらと自分のやりたいことを口にしながら、千夏は自虐的な笑みを浮かべた。

自分の願いを口にする千夏の横顔は悲しそうな、うれしそうなとてもむずかしい顔をしていた。
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