そして、失恋をする
「千夏、よかった。生きてるんだ」

「‥‥」

僕はうれしそうに声をかけるが、千夏は軽く口元をゆるめてなにも言わなかった。

「やっぱり、ダメだったみたい」

「ダメってなにが?」

千夏の言った言葉がわからず、僕は彼女に不安そうに訊ねた。

「陸が、かけた選択の方」

そう伝える千夏だが、僕はその言葉の意味が理解できない。

ーーーーーーダメだった?

その言葉を理解しようとするのと同時に、千夏がほんの少しだけ透けているように感じた。

「ダメだった‥‥?」

開いた口から、僕はかすれた声でそう呟く。それと同時に、その言葉の意味が理解できてきて僕の額に冷や汗が流れた。

「そんなことないだろ?うそだろ」

僕の問いかけに、千夏は細い首をゆっくりと横に振った。

「ほんとだよ」

千夏は、あっさりとした口調で僕に短く伝える。

「ちょっとだけ、私も信じてたんだけど。自分が生きる方に」

千夏は、悔しそうに呟く。その声は、かすかに涙混じりだった。
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