そして、失恋をする
✳︎


「‥‥起きて」

真っ暗な中、かすかに声が聞こえた。

「陸、起きて」

僕の名前を呼ぶ声が聞こえる。女性の声だ。

「‥‥」

ぼんやりとした意識の中、僕はうっすらと目を開けた。

そこはいつもいる僕の部屋ではなく、見たことがない景色が広がっていた。いつも見るマンガやゲームはなく、物がなにひとつなく明るく包まれていた。

「どこ?ここ」

まだ眠気が残っているのか、ぼんやりとした視界であたりを見回す。

「起きたんだね」

近くから声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。

僕は、声のした方に視線を向けた。視線を向けた先に、見覚えのある女性が僕の瞳に映った。

「千夏」

僕は自分の瞳に映った、女性の名前をうれしそうに口にした。

ーーーーーー生きてたんだ、千夏。

彼女の姿を見て、安心したように僕はほっと息を吐いた。かすかに涙で、僕の視界がにじむ。
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