そして、失恋をする
「好きな人でもいるの?」

「えっ!」

とつぜんの希の質問に、僕の頬がかすかに熱くなった。

僕の脳裏にもうこの世にはいない千春の姿がよみがえった。

彼女のことは、好きだった。彼女のことを思うと、頬が熱くなる。だからこそ伝えられなかった自分の想いが、後悔に感じる。

「好きな人でもいるの?」

希が、同じ質問をまた僕にした。

「な、なんだよ。いきなりその質問?」

想像もしてない希の質問に、僕は少し焦った様子になった。

「好きな人でもあるのかなぁと思って。恋愛ドラマ見てるから」

なにげなく推測した希の予想は、ほとんど正解していた。

僕には、好きな人がいる。でも、それは過去のことだ。現在にはいない。だから、〝好きな人がいた〟になる。
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