そして、失恋をする
「いないよ。ただ、恋愛ドラマ見てるだけ」

それは、ほんとうのことだった。過去には好きな人がいたが、現在にはいない。

「いないんだぁ。てっきりいると思ったんだけどなぁ、好きな人」

自分の予想と違ったせいか、希はすーっと目を細めた。

「なんで、そう思ったの?」

「恋愛ドラマ見てるから」

「恋愛ドラマ見てるからって、好きな人がいるとは限らないよ」

そう抗議した僕だが、恋愛ドラマ見てる理由も千春のことが好きだから。ドラマのヒロインが、一周間しか生きれないところもどこか千春と似てるから。つまり、希の理論は的中していた。

「それもそうか」

希は僕の言ったことになっとくしたのか、また外の景色に視線を向けた。

「そうだよ。恋愛ドラマ見てるからって、好きな人がいるとは限らないよ」

もう一度同じ言葉を言った僕だったが、さっきよりも声が小さかった。
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