そして、失恋をする
「修也は、大学に行くのか?それとも、専門学校に行くのか?」

ジュースの缶のプルトップを人差し指で引っ張って開けながら、僕は修也に訊ねた。

「大学に行こうと考えてる。その方が選べる仕事も増えるし、自分の将来も安定すると思うから」

見た目はなにも考えてないようなチャラついた雰囲気をしているのが彼の特徴だったが、しっかりと自分の将来を考えていた修也に僕はなんとなく驚いた。

「そのために今、バイトしてるんだ。大学の高い学費を出せるお金は、俺の家にはないから」

修也は、苦笑いを浮かべて言った。

修也の両親は、共働きだ。しかし、弟も妹もいる修也は、自分ひとりに高い大学費を親が払えないことは理解していた。

「じゃあな、陸」

「ああ」

そう言って僕は修也と別れ、自分の家に帰宅した。
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