そして、失恋をする



翌日、午前九時二十分。千夏と出会って今日で二日目の朝、僕は千春のお墓の前で両手を合わせていた。

「おはよう、千夏」

そう言って数秒間軽くまぶたを閉じると、彼女の姿が脳裏によみがえった。

「千夏。僕って、ほんとうに恋愛運がないと思うよ」

いたずらぽっく言うと、天国にいる千春がなんだか僕に怒ってるように思えた。

「ごめん、ごめん」

そう感じて、僕はすぐに謝った。

「最近、好きな人ができたと言ったら、千春は僕に怒るか?それとも、悲しむか?」

「………」

僕の質問に千春はもう答えてくれないとわかっているせいか、虚無感がひどく悲しかった。

「ごめん、千春。変なこと言って」

そう言って僕は、千春のお墓を後にした。
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