＊ Reality ＊ ～鏡の顔～

幼い頃から　色々な国に転々と移住していた私は　心を許す友達なんてなくて、淋しい幼少期を過ごしていた。

本が、勉強が友達…知識ばかりが蓄積される毎日…


はっ！いけない。今はミッション中だった―――


「それでは高藤社長…次回こちらを社に持ち帰り検討しますので、また連絡致します。今日はありがとうございました。」


専務と二人挨拶をして　会議室を退出した。
無事に商談終了して、今は帰社途中…


「水瑠さんは今まで何をしていた人？」


専務の突然の振りに困惑しながら、丁寧に答える。


「はい、今朝の仕事場はトイレの掃除でした。いつもは会社の掃除をしています。」


「は？それマジな話なの？」


「はい、今は秘書の仕事が全く空きがなく、私も生活の為に　職業を選んでる余裕がないのです。」


「君、中々の強者だね。語学堪能で、帰国子女。おまけに美人で仕事が出来るのに、仕事は掃除をしているとか…」


「専務。仕事に上も下もございません。私は今は掃除のプロの頂点を目指しています。なので、専務の会社は私が掃除をする事により、ワンランクアップ　職場が綺麗になりますよ。楽しみにしていて下さいね…。」


私…流石に、これやり過ぎたかな？でも―――専務はビックリした顔でこっちを見ていた。それも、少し耳が赤いとか…ヤバい。この展開は…きっと――――。