処刑バッヂ
そう言うと梨央は何度も頷いた。


「教室の中で、1人でずっと隠れてたの……でもアラーム音で気が付かれて……」


震える声で、少しずつ説明する梨央。


「そっか……」


あたしは梨央の体を何度も何度もさすった。


とても寒いはずなのに、梨央の体は熱くなっている。


「助かったのは良かったけど、相手に居場所がバレた」


涼希が窓の外を確認しながらそう言った。


「……襲ってきそう?」


「いや、今は大丈夫そうだ。晴康は体育館に戻って行った」


「それならきっと暗示が解けてるんだよ。今なら移動しても大丈夫」


そう言ったものの、梨央の状態を見るとすぐには移動できそうにない。


梨央はまだ震えていてすぐに捕まってしまうだろう。
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