処刑バッヂ
つっかえ棒を乱雑に外し、ドアを開けて外へ出る。


あたしもその後に続こうとした、その時だった。


不意に梨央に腕を掴まれ、体のバランスを崩して倒れ込んでしまった。


ハッとして顔を上げると、冷たい視線をこちらへ向ける梨央がいて体が凍り付いてしまった。


「いつも涼希に守られてないで、たまには1人で頑張ってみれば?」


梨央のその声にはなんの感情も込められていない。


先ほど感じた胸騒ぎが、現実のものとなって目の前に現れている。


「梨央……まさか……」


「涼希の隣にいてお似合いなのは、あんたじゃなくて、あたしだよ?」


梨央はそう言うと、ニヤリと口角を上げて笑う。
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