処刑バッヂ
「朝になったら、あたしたちの勝ちなんだよね……?」


もうすぐ夜明けのはずだ。


窓から見た景色は暗闇から変化していたのだから。


「ざーんねんでしたぁー」


真奈ちゃんの声がすぐ後ろから聞こえてきて、同時にヌルリとした感触が首に絡み付いて来た。


両腕を首にかけられ、後ろから抱きしめられる状態になっているのだ。


「時計、見た?」


真奈ちゃんの言葉にあたしはカクカクと小刻みに首を動かして振り向いた。


「夜明けまでまだ1時間もあるよ」


トオルのスマホが目の前にかざれる。


血に濡れたそれは、あたしたちの負けを知らせている。
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