ヴァーチャル・リアリティ
両親はほとんど家におらず、1人で晩ご飯を食べていたあの頃の記憶。


あたしは左右に首を振って自分の記憶をかき消した。


あたしの家は共働きだったからそうなっただけだ。


こんなに汚れた家じゃなかったし、ご飯も食べれていた。


それでも寂しさは心の中に常にあった。


それが引きずり出されてきてしまう。


「ねぇ、あの文字見て」


百花の声でハッと我に返り、あたしは映像を確認した。


2人が出て行ったドアに文字が浮かんでいる。
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