ヴァーチャル・リアリティ
でもここからじゃ見る事ができなくて、あたしは百花の手を握りしめて歩き出した。


映像内でもドアに近づいていく。


《家から出た男女を殺してください》


ドアに浮かんできた文字にあたしは息を吐きだした。


「これ、ホラーゲームだったみたいだね」


あたしは落胆の声でそう言った。


「本当だ。映像でも人を殺したらきっと血が出るよね」


「VRだもんね……」


それでも、これをクリアすれば外へ出られるのだ。


「とりあえず行ってみよう」


あたしはそう言い、アパートの玄関をあけたのだった。
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