ヴァーチャル・リアリティ
「なに!? どうしたの!?」


梨花子が悲鳴に近い声でそう聞いてくる。


しかしあたしは答える事ができなかった。


あたしが刻印を押し当てた瞬間に聞こえて来た悲鳴。


まさか、あれは本当に……?


そう思うが、怖くて声が出せなかった。


這うようにして移動し、元の白線まで戻ると、ようやくアユの悲鳴も途絶えていた。


「なんだよ、これも演出か?」


陽大が困惑した声で言う。


「た、たぶんそうだよ」


あたしは振るえる声でそう答えた。


今まで会話した声から、アユの悲鳴を作成して流しているに違いない。


自分自身にそう言い聞かせた。
< 53 / 220 >

この作品をシェア

pagetop