ヴァーチャル・リアリティ
「フライパンって……なにも起きないぞ?」


そう言ったのは晴道だった。


「うそ! 女の人が出て来たでしょ?」


「いや、なにも」


なんで!?


あたしは床に転がったままのフライパンを見つめる。


あの映像はあたしにだけ見えたものなんだろうか。


「ちょっと待って。あたし、今コンロに触ったの。フライパンを持ってもなにも起こらなかったから、コンロに乗せてみようと思って」


梨花子の声が震えている。


「なにかあったのか?」


陽大がそう聞いた。
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