旦那様は冴えない先生!?
卒業
初めて合コンに行った時の事が 凄く懐かしくさえ感じる今日……。

やっと やっと 堂々と出来る。


待ち遠しかった。


凄く、沢山我慢もした。


壇上で名前を読み上げる先生は、いつもの
むさくるしい先生ではなくて、凄くかっこいい
蒼さんだ。

朝から女子生徒からの 悲鳴が響き渡っていた。

今まで バレなかった事の方が不思議だが
普段は むさくるしい 冴えない先生。が、
今日は 悲鳴が 聞こえるまでに かっこいい。


式が 始まる前に 我先にと 告白をする者多数。


これには、多少怒りが込み上げてきたが……
抑えて 諦めるしかなかった。

公表していないのだ。当然だから……。


なんて言って お断りしていたのか、は正直、
気になるところ。


いよいよ次は 華音の名前が呼ばれる番だ。
……ニヤリ顔の蒼が目に入った。


『ん ??』

『林 華音』

『……っ!??』


(えっ……。蒼さん。林って……)


華音は 涙が出そうになるのを 我慢して
真っ直ぐに前を向く。

『はい!』

ざわざわざわ……

周りがざわざわざわとし始め
ひそひそと 話し声まで聞こえる
『林? あいつ 園田だよな? なんで林?』

一歩、また一歩 確実に 蒼の前に行こうとする
姿を 蒼は 優しい眼差しで 見守っている。

(蒼さん、私 もう 我慢しなくていいんだね?)
涙が滲んでくる。


< 37 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop