姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
むしろ、これは間違いであって欲しかったが、どうやらそういきそうにもなかった。
記憶していた匂い――少しだけ獣の匂いが混じったような彼女の血の匂いが、どんどん濃くなっていった。
それは、彼女の重症か、死を意味した。
(自分の前に、テミスを名乗る奴等が現れた……
だとしたら、今日の狩りは見抜かれていた?
それなら、喜咲も危ない可能性が高い……)
気付かなかった自分に、腹が立った。
しかし彼から、冷静さは既に失われていた。
(まさか、喜咲がしくじるわけが……だけど!)
この血の匂いが、何もかもを物語っている。
(喜咲、喜咲、喜咲、喜咲………!)
「うおおおおおおおおっ!」
銀司は、幾度目かの咆哮をした。