姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
銀色の狼が、構成員達を襲っていた。
彼らを手当たり次第にちぎっては投げ、獣系妖には激痛をもたらす『疑似銀弾』を、
ものともせず、その獣は血まみれで暴れ狂っていた。
投げ飛ばされた者は、車両や硬い地面に叩き付けられ、短く呻いていた。
ぐしゃりと骨が折れるような、嫌な音がした。
だが、構成員達の悲鳴の方が、その何倍も大きかった。
「何なんだ、こいつ……!」
鬼山は、自分の出番とばかりに、その獣を迎え打った。
それが、彼の役割だった。
ごつごつとした大きな手で拳をつくり、狼の顎に叩き込んだ。
しかし、それで落とせると思ったにも関わらず、
それだけの力で殴り付けたにも関わらず、狼はなお、鋭い爪で切りかかってきた。
「××をぇせええええええっ……!」
狼は、なにかを叫んでいた。
しかし、よく聞き取れない。
鬼山は、爪を腕でガードして目を守ると、狼が体勢を立て直す前に、
彼の顔面を思い切り殴り付けた。