姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
(どうして、こんなにも簡単に殺してしまうんだ……!)
当時は、今以上にテミス内での連携が取れていなかった。
はっきり言えば、構成員同士がいがみ合っていた。
そして、自分達の能力を競うかのように、問題とされる標的を殺しまくっていたのだった。
だが、その代償は大きかった。
薄暗い家の中には腐臭が漂い、食べかけの人間や人骨が散らばっていた。
しかし、そのすぐ傍には、幼い少年が蹲っていたのである。
彼が攫われてきた子供でないのは、すぐに分かった。
怒りか混乱か恐怖で、彼の髪はざわりと銀色に光り、耳が尖りはじめ、
明らかに『変化』の様相を呈していたからだった。
狼の、子供……!
「……ひっく……」
少年は、涙を溜めた目をいっぱいに見開き、近寄る構成員達を睨みつけた。
彼は、窓越しに見ていたのだ。
自分の両親が殺される、そのさまを。
「……よくも」