姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
青年が、つまらなそうに言った。
エリアルは、宙に制止している。
青年に向けている背には、⇔形の『矢』が刺さったままだった。
血がだらだらと流れ、簡単に回復しないだろう事が窺えた。
「正直、僕としてはその人間を捨ててくれた方が、楽しめたんですけどね。
まあ、そっちの彼女の方も、それを自覚していたという点では、評価しましょう……」
「――黙れ」
「うん……?」
「黙れ」
エリアルは、怒りで赤く染まった瞳を向けた。
青年は、思わず怯んだ。
激昂しているであろうエリアルは――笑っていたのである。
「……お前は、ミスを犯した。
……僕の大切な人を、侮辱した事、傷付けた事。
……僕を本気で怒らせたこと……
そして――夜の吸血鬼を、舐めていた事だ!」