姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
 


思うも何も、喉にはがっちりガーゼやらネットやらが被せてあって、


全然自分で傷の具合など分からない。


言われてみてやっと、ああ、そういえばあの時、


喜咲に焼かれたんだっけな、と思い出した程度だ。


鎮痛剤の効果なのか、痛みもあまり感じない。


「肩の方は、まだ傷も浅くて大丈夫だったんだけどな……


その……首は、神経も柔らかい組織も多い上……」


「痕が残るってこと? 


そんなの別に……」


「違う」

 
短く遮られて、いきなり訪れた不穏な空気に圧倒されて、数秒遅れで、


「え……?」
 

彼の意図が分からず訊き返すと、鬼山は深い溜め息を吐いて、告白した。




「――君の首はね……」


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