白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】
「ごめん、ごめん。・・・でも、まだ寝てないと思うけど。・・・で、いったい、いつから好きだったの?」

諦めたように、深い溜め息を付いて、ゆう君が視線を自分の手元に置きながら話し始める。



「・・・ノリが留学して、ハロウィン・パーティーの後。・・・2人で過ごす時間が増えて・・・オレとしてはすごく楽しかった・・・今まで生きてきた中で、安心して楽しんでいられたんだ。」


「今まで生きてきた中なんて、言いすぎだよ・・・。」



私が抱きしめていた枕を、ゆう君は取り、布団の上に置いた。

そして、私の手を引いてゆう君の腕の中に閉じ込められた。



「言い過ぎなんかじゃない。・・・母さんはいてくれたけど、どっかでいつも不安で、寂しさが足元に纏わり付いていた感じは、どんな事をしていても取れなかった。でも、あの時は、それがまったくなかった。安心って言葉をやっと経験できた時なんだ。・・・それに気が付いたのは、ノリが帰国してからだよ。また、その寂しさが這い上がってきて・・・オレが帰国してノリに会うようになって、それがまた薄れていったんだ。そのうち、ノリと一緒にいると癒されるのにドキドキと心が落ち着かないようになって、どうしようもなく好きなんだとわかった。」




ドキドキと耳に伝わる、ゆう君の胸の音に私は安心感をおぼえる。

そして、ゆう君の寂しさを全部は理解できていなかった事に、後悔を感じた。

でも、好きだと言われて、やっぱりうれしい。




< 110 / 136 >

この作品をシェア

pagetop