ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

とりあえず時間軸は完成したため、散らばったリストを片付けることにした。

順番どおりに拾い集めていると、とある一枚に目が留まった。

リストのうちのひとりの女性。

この一枚のほかにも彼女のプロフィールは三枚あったから、四回人間界へ行ったひとりだということになる。

行方不明事件の件数と同じ、四回の旅行歴がある人は昨夜注意深くプロフィールを読んだけれど、被害者の人間が女性ばかりだったから、無意識に同姓のヴァンパイアについてはチェックしていなかった。

「なんだ、その女がどうかしたのか?」

私がその一枚を食い入るように見ていると、横からアルバさんも覗きこんできた。

「ええ。少し、気になることが書いてあります」

名前はオリーヴィアさん。

写真は若く美しいブロンドの女性で、職業はヴァイオリニスト。

音楽の発展への寄与が称えられ、永久的な人間界への旅行の権利が与えられている。

「この方はおそらく、音楽のために人間界へ出入りしているのでしょう。ヴァンパイアといえど、人間界への旅行の目的は血を吸うためだけではない方もいらっしゃいますから」

ノア君はそう言った。

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