ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
「……なんだこりゃ、アンタら何やってたんだ?」
床に散乱しているリストを見て、彼は首をかしげていた。
続いて一番近くにある一枚を拾い上げ、その先の時間軸のグラフへと目を移す。
「人間界での行方不明事件の犯人を探しているんです。事件発生時刻に人間界にいた旅行者はいないか、照らし合わせていました」
「へえ、それでリストを調べてたのか。で、何か分かったのか?」
「いえ、犯人については、何も……。事件が起きたとき、リストの中の誰も人間界にはいなかったようなんです」
「なら犯人はヴァンパイアじゃないってことじゃねえのか?」
でも、私を襲った犯人は、間違いなくヴァンパイアだった。
だから人間界に誰も来ていなかったというのはおかしいのだ。
私が事件の被害者だと明かすことはできないから、それをアルバさんには説明できないけれど。