ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

私はすぐには事態を飲み込めなかった。

ダークナイトという人は、シュヴァルツさんの休暇中に代わりに門番をしていて、彼がいま会いに行っている人。

ダークナイトが、オリーヴィアさんに取引を持ちかけた……?どうして……?

すると、脳裏に、あの時間軸のグラフが浮かび上がってきた。

四回の旅行歴、扉の開閉回数、犯行時刻の空白。

浮かび上がった仮説。

真実に気づくと、私は膝から崩れ落ちた。

「アルバさん、まさか……」

「ああ、そのまさかだ。行方不明事件の犯人はダークナイト。奴は拐ってきた人間たちを、今夜のオークションに出品するつもりだ」

真相が分かった。

オリーヴィアさんの名前を借り彼女の旅行記録を捏造し、実際は門番であったダークナイト自らが人間界へ赴いた。

だから扉の開閉回数はリストと合致したのだ。

ヴァンパイアが誰も人間界にいない空白の期間に犯行が行われたのは、門番としての務めがない日だったから。

今まで私を追いかけてきたヴァンパイアたちの不吉なざわめきが、頭の中を侵食するように響いてきた。

欲にまみれたヴァンパイアたちに売られてしまったら、拐われた女性たちは一体どうなるの……?

『すべてを奪われるだろう』

私はシュヴァルツさんの言葉を思い出した。

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