ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

女の子はまたワゴンへと乗せられ、ステージの袖へと連れていかれる。

大きな拍手に包まれたが、ハインリヒは唇を噛み締めながらその様子を見ていた。

競り落とせなかったことがよほど悔しいらしい。

しかし彼はなんとか涼しいに戻り、連れの女性に顔を寄せて「あの男、我輩と競うつもりらしい。せいぜいここで散財すれば良い。残った極上の血の純潔は、何があろうと俺のものにする」と呟いた。

この人が狙っているものが私だと知ると、ふたつ隣からでもおぞましい気配が漂ってきた。

でも、幸いにも私は今まで捕まらずにここまで逃げ切ったのだ。

このまま身を隠していれば、私の競りは中止せざるを得ないはず。

それでもこのままじゃ、同じく拐われてきた女の子たちが全員ヴァンパイアのものになってしまう。すでにひとり、あの黒髪のヴァンパイアに競り落とされたのだ。

なんとかしなきゃ……!

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