ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
水無月さんは優しい人だった。
いつもニコニコしていて、お友達の学生たちと食堂にいることが多く、あまり話したことはないけれど、挨拶をしてくれる。
こちらから関わることは避けていたけれど、そんな私にも笑いかけてくれて、誰にも隔てなく接していた。
彼女は悪いことは何もしていない。
それなのに、水無月さん、あんなに泣いて……──
絶望した表情を浮かべている彼女を見て、私は胸がギュッと締め付けられた。
「アルバさん!」
彼に助けを求めても、聞こえないふりを続けている。
ノア君も「アルバ様!?」と怒った様子で声を上げるが、もうこちらを振り向きもしなかった。
あれ……?
「……アルバさん」
「ったく、今度はなんだよ」
そういえば、
『無茶すんな。また転んでケガするぜ』
さっき、何気なく言われただけの一言だけど……。
「私、アルバさんの前で、転んでケガしたことありましたっけ……?」
尋ねると、彼はピクリと揺れた。