ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
「本当に人間なのか? 見た目はヴァンパイアだ」
近くにいた貴族のうちの誰かがそう指摘し、そういえば今の私はヴァンパイアと変わらない見た目なのだと自覚をすると、わずかな安堵が湧いた。
耳もとで「アカリ様、仮面をとって下さい」と聞こえたので、それに従うと、私の顔を見た周囲はさらに文句を言い始めた。
「目も赤いじゃないか! このお嬢さんは人間ではないぞ!」
会場がブーイングに包まれると、ノア君に「今のうちに逃げましょう」と促され、私は言われるがまますぐに席を立った。
混乱に乗じ、ダークナイトがいる方向とは反対の通路へ出ると、会場の出口の扉へと一目散に走る。
ここで捕まれば、私はきっともとの世界には帰れなくなるだろう。そんな気がしていた。
振り返らずにとにかく前へと進んだ。
恐怖で息が詰まりそうだったが、出口の扉がすぐ目の前に現れた瞬間、安堵の息が漏れる。
「どこへ行くのかな?」
しかし扉にあと数センチで触れるというところで、背後からダークナイトの声がした。