ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

「ダークナイトッ……」

「さあ戻ろう。君の競りが始まるよ」

アルバさんの変装をしていたはずのこの人はもうあの“夜野”の姿に戻っており、それは襲われかけたあの日の記憶を呼び戻されるようだった。

「離して!」

手を振り払おうと力を入れても、びくともしない。

強い力を込められた手首は容赦なくひねりあげられ、両手首を腰の後ろに束ねて固定された。

痛みで顔を歪めたが緩められることはなく、隠れていたノア君が飛び出し、背後のダークナイトに飛びかかった。

「邪魔だ」

「ノア君!」

ダークナイトがそれをハエが飛んでいたかのように叩き落とすと、目をくるくる回したノア君が床にペタンと落ちた。

「ノア君になんてことするのっ……!」

捕らえられたまま体をねじって睨みつけたが、彼は不敵な笑みを浮かべたまま。

私がふと視線を前へと戻すと、先程までステージの司会者にブーイングをしていたはずの観客たちが一斉にこちらを向いて静かになっていた。

何……?

「……人間だ……」

先頭のヴァンパイアのうちひとりが、私と目が合うなりボソリと呟いた。

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