ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
彼は前を見据えたまま、仮面を取った。
「シュヴァルツさん!」
しっかりと顔を見るとたちまち安堵の涙が溢れてきて、夢中でしがみつき、彼も私をすっぽりと腕の中に隠した。
床で目を回していたコウモリのノア君を拾い上げ、私の手の中へと戻してくれる。
「これはこれは……門番のシュヴァルツ様ではないですか」
背後でそう呟いたのはダークナイトだった。
シュヴァルツさんがここにいるという事実に、周囲の貴様たちもざわつき始め、私だけが追い詰められていたさっきまでの状況が変化していく。
「門番である貴方がこんなところで人間を買っているとは、予想外でした。意外に良い趣味をお持ちなのですね」
「ダークナイト。人間を競りにかけた事実が明るみに出れば、政府は貴様を重罪人として処すだろう」
「分かっていらっしゃらないようですね、そのときは人間を三人も競り落としている貴方の罪も追及されるはずですよ。大人しくここを見過ごすほうが、貴方にとっても得策だと思いますが」