ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
「そうだ!政府が一部の金持ちどものために用意したんだろ!俺たちは関係ない!」
「早くその人間を連れ出してくれ!」
さっきまでは、楽しそうに人間の競りに参加していたくせに……。
立場が悪くなったとたんに文句を言い始めたギャラリーを疎ましく思いながらも、状況はシュヴァルツさんの有利に運んでいると感じた。
「ダークナイト。観客どもはもう競りを続ける気はないようだ。……そこを通せ」
シュヴァルツさんの前に立ちはだかる観客たちはわらわらと道を開け始め、残されたダークナイトはさらに身を縮れこませた。
ついに彼は一歩下がり、そして道を開けようと、わずかに動いたのだが。
「待て!!」
ダークナイトのさらに後ろから、その声は響いた。
声の主は群衆を掻き分けながらこちらへとやってくる。
その人は観客たち、そして私たちの視線を一斉に集めるが、注目されることには慣れている様子で、まったく動じることなく開かれた道を歩いてきた。
現れたのはハインリヒだった。