ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
一瞬ギョッとするアルバさんが目の端で見えたけれど、すぐに視界はシュヴァルツさんでいっぱいになった。
初めてここへ来たときにされた乱暴なものではない、優しくて消えてしまいそうなキス。
彼の舌が私の唇を開けるように歯列を割ると、そこからじんわりと痛むくらいの熱さが口の中に流れ込んでくる。
光を放つ熱は、彼の口から私の口へと移動して、喉の奥に落ちていく。
これは彼に預けていた魂だ。これを受け取ったら、すべて終わってしまう。
ここでのことも、彼のことも。
「シュヴァルツ!もう無理だ!扉が壊される!」
バキン、という破壊音とともに扉に亀裂が走り、そこから斧の先のような重い刃物の頭が見え隠れする。
ゆっくりとしたキスは終わり、シュヴァルツさんは私を持ち上げ、白の扉の前へと移動した。
「待って!」
彼は私の体を白の扉の向こうへと押し込もうとし、私は必死で扉の枠に手をかけ、それを拒否した。
背中にじりじりと焼けつく向こう側の世界の光は、今にも私を吸い込もうとしている。