ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋


あの事件の直後、先輩はゼミに復帰した私を、泣いて迎えてくれた。素直に嬉しくて、救われた気持ちになったことを覚えている。

“酷いこと言ってごめん。あれが最後になるんじゃないかって、いなくなってからずっと後悔してた”

あのときそう言われて、知らなかっただけで、私のために泣いてくれる人がちゃんといるんだと思った。

「それでも加賀先輩、落ち込んでなかったね」

「前向きな人なんだよ。太陽みたいな、ね」

「……じゃあいいじゃん加賀先輩で。なにが不満だったの?理由を言いなさい!理由を!」

「うーん……忘れられない人がいるんだよね」

「誰!?」

「覚えてないの。でも、きっといつか会える気がして」

エミちゃんは煮え切らない顔をしたけれど、ただ笑顔を浮かべるだけの私を見て、フッと明るいため息をついた。

「なにそれ。よく分からないけど、その人と会えるといいね」

「うん」

「あ、職場近いんだし、就職しても私とも会ってね!近況報告とか!」

「もちろん!」

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