ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

「もう離れていかないで……ずっとそばにいて下さい……」

「ああ。ここではお前を頼る。もちろん手を貸すだろう?……お前はすべてを俺に差し出すと言っていたのだからな」

「え……?あっ……」

「言ったことは守ってもらう。ヴァンパイアに己を差し出す言葉を言ってはならないと俺は散々忠告した。お前がそれを聞かなかった方が悪いのだ。極上の血に、お前の純潔、すべて俺のものにする」

その意味を理解すると、体の熱が顔に集まり、くらくらと甘いめまいがした。

そんな私の様子に、彼は「冗談だ」と笑うのだった。

「ほ、本当に冗談なんですか……?」

「そうしておく。お前のそばにいて、俺がいつまで耐えられるかは別の話だが。………ところで、アカリ。口を開けろ」

「えっ……」

「早く」

ギュッと目を閉じて、唇を彼に向ける。彼の繊細に触れる指がそっと顎を持ち上げ、私にキスをした。

彼の口から、熱い光が私の中に流れ込み、すんなりと喉に収まっていくと、“ハァ”というふたり分の息継ぎとともに唇は離れた。

「俺の魂だ。預かっておけ」

目を開けると、彼の瞳は茶色くなり、肌の色もうっすらと血の通った色に変わっていた。

涙で潤む瞳で、額をくっつけ、その瞳と見つめ合った。

「シュヴァルツさん、人間みたい……」

「……ああ、それも悪くないな」

満開になった桜の館で、私たちはもう一度、溶けるようなキスをした。





END
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