ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

シュヴァルツさんは今までで一番の恐ろしい視線をノア君へと送った。

ノア君もそれを感じとったらしく、口を塞いだままカチンコチンに固まっている。

「人間?」
「今誰か人間と言ったか?」
「人間がどうしたって?」

周囲の貴族たちがザワザワと騒ぎだした。

どうしよう……。

この人たちに私が人間だと気付かれてはいけないのだということは、何となく分かっていた。

シュヴァルツさんもそれを隠すために私にキスをして魂を抜き取り、こうして寄り添って歩いてくれているのだろうということも。

愛くるしい見た目のノア君をとても責める気持ちにはならないけど、彼のせいで集まってきた赤い視線に、呼吸が苦しくなっていく。

人間だとばれたらどうなるんだろう。私、殺されちゃうの……?

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