ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

無数の赤い視線につらぬかれ震えている私の肩を、シュヴァルツさんはさらに強く抱き寄せ、「絶対に離れるな」という無言の合図を出している。

言われなくとも、今は絶対にこの人のそばを離れたくない……。

「え、えっと、その………に、人間界!てっきりシュヴァルツ様は休暇中は人間界に遊びに行っておられたのかと思いました!」

ノア君は“人間”がNGワードだと察したようで、苦しいながらも、大きな声でそう言い直しごまかしている。

“人間”という言葉に過敏に反応していた周囲もその言葉の正体に納得したらしく、ざわめきは止み、私はホッと胸を撫で下ろした。

「シュヴァルツ様は人間界にはご興味ないのですか?」

近くにいた貴族がシュヴァルツさんにそんな質問を投げ掛けたが、彼はそれを無視した。

“人間界”か……。

うすうす気づいてたけど、やっぱりここは、人間界じゃないんだ。

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